2007年04月21日

終わりと始まりの季節に -かすみがうらマラソン2007-

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2007年4月15日、茨城県土浦市川口運動公園。
僕はようやくこのスタートラインにたつことができた。
一生に一度は挑戦してみたかった(でもずっと挑戦せずにいた)
フルマラソンがもうすぐ始まる。
大いなる不安と少しの勇ましい気持ちを胸に
午前10時の号砲を心して待った。


大会の制限時間は6時間。目標は完走すること。

正直に言うと、僕には甘えの気持ちがたくさんあった。
練習量を考えると完走は現実的と思えなかったし、
"フルマラソンはリタイアすることも勇気だ。"とか
"初マラソンなのだから雰囲気さえつかめればいい。"とか
"6時間に間に合わなくても構わない。"とか
幾つもの逃げ道を用意していた気がする。

そんな思いは走り始めて、腹痛に襲われたり、膝が痛くなったり
足が攣りそうになる度に頭をよぎる。
たまに通りすぎる救護車などは本当に甘い甘い誘惑でしかなく、
僕が手を上げてしまえばその時点でリセットボタンを
押せるという至れり尽くせりぶりが少し憎たらしい。


僕は今回この大会に一人で参加したけれど、
どんな人でも本当の意味で一人で走っている人はいないのだと思う。

それは単純に、大会のスタッフの存在もそうだけど、
とりわけ初挑戦の僕にとって
沿道の声援、そして、共に走る周りの人たちの力は偉大だった。

おじちゃん、おばちゃんの声援と笑顔は
さながら両親からの激励のように僕を鼓舞してくれるし、
座りながら旗を振るじいちゃん、ばあちゃんには僕の頑張る姿を見せなくちゃいけない。

田舎の子供の透き通る声援はその純粋さで背中を押そうとするし
かわいい女の子の声援はたちまち僕を青春させてくれる。

大人数の応援はまた別物で、大太鼓の音と共に、
不思議な、大きなエネルギーの塊が全身を震わそうとするからたまったもんじゃない。

地元の方々が善意で用意してくれた梅干やバナナ、
チョコレートに喉飴などのその気持ちがありがたくて
思わず食べ過ぎてしまったりもする。


20キロ辺りの長い坂道で下半身がとうとう限界にきて僕は歩き始めた。
だましだまし走ってみても僕の膝はとても正直でこの先の距離を思うと
走りつづけることが懸命な策とも思えなかった。頭はとても冷静だった。

かすみがうらマラソンだってのに霞ヶ浦はまだ見えていなかった。

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この辺りになると周りを走るメンバーがだんだん顔見知りのようになってくる。
お互いを励ますように抜いたり抜かれたりしながら共にゴールを目指し始める。

ようやく霞ヶ浦が見え始めたころだろうか。
ふぬけになりかけた僕を断固たる歩きで抜いていった男性がいた。
断固たる歩きというのは、何かと思うかもしれないけれど、
6時間の完走に向けた歩きと僕のようにペースをつかめなくなってしまった
歩きでは全く力強さが違う。まず彼は背筋がピンと張っていた。
そして、とてもかっこよかった。


僕は彼について行くことにした。
競歩のような彼の歩きに直接ついていくことは困難で
僕は離されるたびに彼を走って追いかけた。

彼は何故歩き始めたのだろうと思った。あの足腰は絶対まだ走れるに違いない。
でも再び目標を見つけた僕にはありがたいからそんなことを考えるのはやめた。
37キロ過ぎまで何度も何度も離されながらその背中を追いつづけた。
彼には何度も忍び寄る僕の足音が聞こえていただろうか。

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38キロ地点。残り4.195キロ。残り時間43分。
もはや僕に彼の背中は必要なくなった。
立ち止まり、「最後の一個だよっ」とおばちゃんがくれたいなり寿司を頬張った。
「立ち止まっている場合じゃないぞ、ギリギリだぞ!」と
おじさんの激が飛ぶ。僕は再び走り始めた。


42.195キロがあと3キロ、あと2キロ、あと1キロと確実に減っていく感触は嬉しかった。
そしてまもなく5時間48分の僕の初マラソンが終わった。

静かな感動と言い知れない満足感がとても心地よかった。

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42.195キロは長い。絶妙とも思えるけどやはり長い。
特に僕みたいな初心者には途方もない距離に思える。

5時間48分という時間の中で何度も何度も自問自答を繰り返したり、
周りの人に励まされたりしながら、なんとか前に進もうとする。
目標はゴールすること。別に賞品があるわけでもないのに。

僕はどこかで人生を思った、きっとマラソンランナーの多くが思うことだ。
そして人生は生き抜くことに意味があるという誰かの言葉を思った。


大会の素晴らしいスタッフと地元の方々の素敵な応援に感謝を!
そして最後まで顔を見ることを出来なかったあの断固たる背中の男性に
どうもありがとう。
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posted by リョウタ・グッドマン at 11:37| Comment(2) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お前はスゴイよ。

機会があれば一緒に走ろうぞ!
Posted by 雑なオトコ at 2007年05月04日 17:36
そんな風にいってくれると嬉しいけど、
フルマラソン走る人はたくさんいるからね、
ぼちぼちですよ◎

Mくんも走る気あるなら10キロくらいなら
いつでも付き合うよ。
Posted by リョウタ・グッドマン at 2007年05月10日 22:27
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