2006年01月29日

追憶の銀幕 「ライザ・ミネリと無理心中」

キャバレー リバース・エディション

銀幕の女優に恋することが少ない。

映画史において、
世の中の男性が最も多く熱視線を注いだ
女優といえばオードリー・ヘプバーンだろうか。
『ローマの休日』での美しさはきっと永遠なんだろう。
僕が劇場で初めて観たのは高校時代だった。
スクリーンに大写しになる彼女の顔は
今も心の中に残る。

「近年の映画はリアルさばかりを追及した夢のない物語が多くなり、
妙な個性派俳優で溢れている」なんて批評をたまに目にする。

思わずため息が出るほどに美しいヒロイン、
超2枚目俳優が演じる純愛映画は
「古き良き時代」と呼ばれる頃の
遺産になりつつあるのかもしれない。

(そう考えると『冬のソナタ』みたいな
超純愛ドラマが「古き良き時代」に青春を謳歌した(であろう)
オバサマ方に受けたのは、なんとなく納得できる気がする。)


シカゴ』の原作者でもあるボブ・フォッシー監督の1971年作、
『キャバレー』というミュージカル映画を観た。

物語の舞台は1930年代のドイツ。
場末の小さなキャバレーで繰り広げられる
人間劇は、コミカルであり、堕落的であり、時に力強い。
忍び寄るナチスの暗い影は物語に一定の緊張感を与えている。

ブロードウェイ・ミュージカルの映画化であるため、
物語にリンクする劇中のミュージカルナンバーは
もちろん心地よいし、ダンスの完成度も高く
映画的な楽しさに溢れている。

しかし、こんな完成された映画をも
凌駕してしまう人物がいた。
主演のライザ・ミネリがその人だ。
スクリーンに現れた瞬間、思わず目を奪われる
その存在感たらない。

オードリーの可憐さ、気品のよさとは違うが、
ベティーちゃんのような大きな目に
着けマツゲの愛らしさ、
そして形容しがたいエロチズムに
男なら惚れずにいられない。

映画自体が彼女の世界観の中にあるように
思えてしまうのも、アカデミー主演女優賞※1を
贈られたという事実を聞けば納得がいく。

彼女の出演作品をもっと観たいと多くの人が思うだろうが、
残念ながら、彼女の輝きは長く続かなかったようだ。

後にドラッグとアルコール依存に溺れてしまったのは
母親のジュディー・ガーランド※2の幻影かハリウッドの性か、
詳しい事は僕にはよく分からない。

しかし、キャバレーで見せたその輝きが
本物であることに変りはなく、
僕の恋も冷めることはない。


※1『ゴッドファーザー』が作品賞を受賞したその年に
  監督・主演女優(ライザ・ミネリ)・助演男優(ジョエル・グレイ)
  撮影・美術監督・音響・編集・編曲の8部門を制覇。

※2『オズの魔法使い』でドロシ―役を演じ一躍スターになった女優。
  後に薬物依存、精神病を患い、47歳で他界。
posted by リョウタ・グッドマン at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋画(映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。