2005年12月09日

EXPLOSION YOURSELF 岡本 太郎『出会い』

okamoto.jpg

太陽の塔』が気になっている。
大阪万博時に岡本太郎によって作り出され
今は万博記念公園にあるというそのモニュメント。
まだ、実物は見たことがない。

ある日、岡本太郎の特集番組を観た。
太陽の搭に関して太郎はかく語る!

太陽の塔が作られたころは高度成長期の
絶頂で、日本中が進歩、GNPに自信満々
の時代だった。そこへ万国博。おそらく全体
が進歩主義、モダーニズム一色になることは
目に見えていた。そこで私は逆に時空を
超えた、絶対感。馬鹿みたいに、ただどかんと
突っ立った『太陽の塔』を作ったのだ。
現代の惰性への激しい挑みの象徴として。

度肝を抜かれた。
すごいぞ太郎!めちゃめちゃロックじゃねーか!



11月27日、向ヶ丘遊園にある岡本太郎美術館
訪れた。

当然、太陽の搭はないが(ミニチュアはある)、
どの作品も太陽の搭に負けないインパクトで迎えてくれる。
彼が敬愛したピカソのような抽象的なものが多く
太郎の感情が具現化されているためか
エネルギーの塊のように作品が存在する。

美術館を歩いていると不思議なことに
太郎がまだ生きているような感覚がしてくる。
そして、(なんとも凡人的だが)
「芸術は爆発だ!」という太郎の言葉が頭の中を駆け巡る。


美術館のハイライトは
太郎の最高傑作といわれる
巨大壁画『明日の神話』の原画。

これが太陽の搭に負けず劣らず熱い。
この絵についての言葉を捜していたが
岡本敏子さん(岡本太郎の養女)による
解説をお借りしたい。

「壁画について」岡本敏子

『明日の神話』は原爆の炸裂する瞬間を描いた、
岡本太郎の最大、最高の傑作である。
猛烈な破壊力を持つ凶悪なきのこ雲はむくむくと増殖し、
その下で骸骨が燃えあがっている。悲惨な残酷な瞬間。
逃げまどう無辜の生きものたち。
虫も魚も動物も、わらわらと画面の外に逃げ出そうと、
健気に力をふりしぼっている。
第五福竜丸は何も知らずに、死の灰を浴びながら鮪を引っ張っている。
中心に燃えあがる骸骨の背後にも、シルエットになって、
亡者の行列が小さな炎を噴きあげながら無限に続いてゆく。
その上に更に襲いかかる凶々しい黒い雲。
悲劇の世界だ。
だがこれはいわゆる原爆図のように、ただ惨めな、
酷い、被害者の絵ではない。
燃えあがる骸骨の、何という美しさ、高貴さ。
巨大画面を圧してひろがる炎の舞の、優美とさえ言いたくなる鮮烈な赤。
にょきにょき増殖してゆくきのこ雲も、
末端の方は生まれたばかりの赤ちゃんだから、無邪気な顔で、
びっくりしたように下界を見つめている。
外に向かって激しく放射する構図。強烈な原色。
画面全体が哄笑している。悲劇に負けていない。
あの凶々しい破壊の力が炸裂した瞬間に、
それと拮抗する激しさ、力強さで人間の誇り、純粋な憤りが燃えあがる。
タイトル『明日の神話』は象徴的だ。
その瞬間は、死と、破壊と、不毛だけをまき散らしたのではない。
残酷な悲劇を内包しながら、その瞬間、
誇らかに『明日の神話』が生まれるのだ。
岡本太郎はそう信じた。この絵は彼の痛切なメッセージだ。
絵でなければ表現できない、伝えられない、純一・透明な叫びだ。
この純粋さ。リリカルと言いたいほど切々と激しい。
二十一世紀は行方の見えない不安定な時代だ。
テロ、報復、果てしない殺戮、核拡散、ウィルスは不気味にひろがり、
地球は回復不能な破滅の道につき進んでいるように見える。
こういう時代に、この絵が発するメッセージは強く、鋭い。
負けないぞ。絵全体が高らかに哄笑し、誇り高く炸裂している。

メキシコで奇跡的に発見されたという
この作品は現在、修復中で2006年8月に汐留で展示し、将来的には
広島の平和記念公園での常設を目指しているという。
(美術館にある原画は高さ1.77m・幅10.85mで
修復中のものは縦5.5m、横30m!という巨大な壁画)

平和記念公園での展示は、なんともゾクゾクする話だ。
太陽の塔同様に多くの人の目に触れ
それこそ爆弾を落とすようなインパクトを
与えるに違いない。


この日、僕は人間・岡本太郎に出会った。
「芸術とは生きることである。」と語る
岡本太郎は惰性の中に埋没しそうな
僕にとってビビッドな存在となった。

今の時代に生きていたら果たして
どんな作品を生み出しただろうか。
僕はジョンレノンを見る時と同じような目で
太郎を見てしまった。

そして、まだ見ぬ『太陽の搭』は
どのように僕を迎えてくれるだろうか。
美術館の作品がそうであったように
歪なようで純真なエネルギーの塊として存在しているんだろうか。

そのことを確かめにいつか万博公園に行こうと思った。
posted by リョウタ・グッドマン at 00:26| Comment(7) | TrackBack(1) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
岡本太郎といえば、太陽の塔しか知らなかったけど、
そのでかい壁画はすごそうだなー。
エネルギー溢れる芸術はいいね。
Posted by ケソ at 2005年12月09日 15:45
俺も万博公園には行ったことないんだけど
太陽の塔は、何回も見た事があるよ☆
高速で宝塚付近を走ってると北に万博公園が
あって”太陽の塔”が見えるんだよ。
初めて見つけたときはスゴクびっくりしたと
同時に少なからず感動した記憶がある。
多分マジかで見るとさらにすごいんだろうな♪
俺も今度是非行ってみよう! 近いし!
Posted by 36 at 2005年12月09日 20:14
>ケソ
だよね、俺らの世代だとあんまり
よく知らないよね。
メディアに多く露出してた人だし
本もたくさん出してるから
少しずつ紐解いていこうと思ってんだ☆

>36さん
太陽の塔は内部に
万博の時には公開してた生命の樹ってのが
あるらしいんですよー。
ごくたまーーに一般公開される
らしいので次のチャンスを狙って
僕は行こうかと思ってます!
マジかで見たら感想くださいねー。
Posted by リョウタ at 2005年12月10日 00:28
岡本太郎Peopleにトラックバックありがとうございます。

万博があったとき、前衛芸術家の間で万博に反対する「反博(はんぱく)」運動が起きました。
万博に関わった岡本太郎はそれまで太郎を支持していた一部の芸術家から裏切り者扱いされます。
そんな時太郎は「太陽の塔が一番岡の反博だ」と言い切りました。
でも、万博以後の太郎は偉くなったせいで、挑発的なことをしても認められるようになっちゃって、
それまでのような活発な活動が出来なくなるんです。
テレビにたくさん出たりするようになるのもそのためだといわれてます。
太郎にとって太陽の党は転換期になるとっても重要な作品です。
いろいろ見聞を深めると面白さがぐっとましますよ。
ぜひ実際に見てください。
あと、「明日の神話」はちょうど太陽の塔と同じ時期に作っています。

おせっかいながらお勧め本は人生論なら『自分の中に毒を持て』芸術論は『今日の芸術』『。経歴を一通り読むなら『岡本太郎に乾杯』が入門にお勧めです。
Posted by nobuta at 2005年12月18日 01:17
太陽の塔によって
「今日の芸術はここちよくあってはならない」と
主張する太郎の前衛芸術が「当たり前」の事として
人々に認められてしまうというパラドックスに
陥ったということですかね。
僕は前衛的でありながらパブリックな存在で
あったことを非常に痛快に感じていました。

興味深いコメントを有難うございます。
お勧め頂いた本や岡本太郎記念館を訪れて
見識を深めたいと思います。
Posted by リョウタ at 2005年12月18日 22:21
TBありがとうございます。
「明日の神話」は広島の平和祈念公園常設を目指しているのですか?!TVで何れ常設されるとは聞いていたのですが、近くなので楽しみです♪この壁画(原画)が私の岡本太郎像をひっくり返してくれました。
著作はnobutaさんお勧めの2冊しか読んだ事がないのですが、写真集も力強くて面白いです。あと、椹木野衣/著「黒い太陽と赤いカニ 岡本太郎の日本」に、岡本太郎が太陽の塔に込めた思いを著者なりに推測して書いてあります。父親の漫画家岡本一平の影響の考察も面白かったです。
Posted by cosmos at 2005年12月19日 11:28
広島の平和祈念公園常設に関しては、
美術館に掲示されていた
新聞に書かれていたのですが、
インターネット上には
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200506290008.html
のような情報しか見ないので
今はどういう状況なのか自分もわかりません。
(しかし太郎はなぜメキシコのホテルに
この壁画を展示しようと思ったのですかね。)

「黒い太陽と赤いカニ 岡本太郎の日本」も
岡本太郎考察本としては面白そうですね。
お勧めいただき有難うございます。
Posted by リョウタ at 2005年12月20日 12:43
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岡本太郎
Excerpt: 東京に行ったついでに、川崎市の岡本太郎美術館に行った。 生田緑地の林の中の静かな美術館だった。
Weblog: ロバの耳
Tracked: 2005-12-19 11:29
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